#21 撮影日誌⑤

2013年6月24日

6月3日~6月7日。

森の中の第二次ロケを終わり、本日より都内撮影。

竹内哲(板倉)の自宅・画廊などの撮影。

竹内は5人家族。妻・純子 遠藤久美子 自閉症の長男 武井 証 長女 小島一華 二男 石田竜輝。子役はすべてオーディションで選出した子供たち。

家庭内の撮影は、子供たちが学校行く前の朝食シーンから撮り始めた。台本に日常的なセリフは書いていないので、設定を説明し、セリフを口頭で伝えテストなしで撮り進めた。ドキュメンタリーの手法である。

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家庭内の撮影は、ほとんど手持ちカメラ。山崎が最も得意とする所。撮影には必ず「待ち時間」があるが、遠藤久美子がゲームをして子供たちとの距離を詰めてくれた。

 

自閉症の長男が描いた「蜘蛛の巣」を見る夫婦。 この絵は映画のテーマの一つにもなっている。

自閉症の長男が描いた「蜘蛛の巣」を見る夫婦。
この絵は映画のテーマの一つにもなっている。

「樹海のふたり」には自閉症児が登場するが、アスペルガー症候群の人の中には、限定された分野に興味・関心が集中し、優れた能力を発揮する人がいる。放浪の画家山下 清、ゴッホやアインシュタインもアスペルガー症候群ではないか、と言われている。

私が最初に自閉症児の絵画に触れたのは「風の散歩 小さな芸術家」(コーレ社刊・1999年)である。その画集には、比較的低年齢の自閉症児の作品が網羅され、研究本にもなっている。シャンプーのボトルに執着する男の子、消火器に固執する子、ロボット、電車、送電線ばかり描く子。その中でも、目を奪われたのは上田 豊治さんの切り絵。郷里・萩市の伝統行事を描いたものだが、その緻密さと力強さは驚いた。

社会生活は苦手だが、とてつもない秘められた能力を持つ自閉症児・・・そんな子供たちが描く絵に魅せられ機会があれば個展などに足を運ぶようになった。最近では福岡在住の自閉症児の画家 太田宏介さんの絵が素晴らしかった。今年5月末から銀座で初個展が開かれたが、色彩の鮮やかさ、パワフルな構図、そして題材の豊富さ・・・圧倒的な宇宙観、釘づけになった。

今回、光一は7点の絵を描く設定であるが、どこに展示してロケをするか、いくつかの画廊候補が上がっていたがまだ決めていなかった。都内をロケハンの時、偶然発見したのが「ギャラリーf分の1」という画廊だった。弊社の会社名が「えふぶんの壱」であるので、看板を見つけた時に驚いた。吸い込まれるように中に入って話をすると、このギャラリーでも自閉症の絵画展示をやった事があり、オーナーの館野道子さんが理解を示され、この画廊をロケ場所とした。

 

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絵画については、秘話を含め「映画公開後」詳しく書く予定です。

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